インタビュー PART1
「ピアノを始めてから、お子さんにどんな変化がありましたか?」
この質問をさせていただいたのは、ショルタメンテでピアノを始めて1年経っていない生徒さんのお母さんに対してです。
この生徒さんはショルタメンテの前に1年ほどピアノを習っていたそうなので、ピアノに触れることに関しては慣れている様子でした。
しかし、このブログでお話ししたいことは音楽の技術の変化だけではなく、日頃の様子の変化についてです。
では、以前のこの生徒さんの状態をご説明いたします。※ご家族の許可は得ております。
『今まで不安が大きくて、長い休みの後や学年が上がる時、朝や夜よく泣いていた。』
この不安感がピアノを始めてからはすっかりなくなったそうです。
そこで今回はこの不安について取り上げたいと思います。
不安とは脳の扁桃体という部位によって感じられます。
扁桃体は狩を行なっていた時代、命の危険が及びそうな時、逃げるのか戦うのかの選択をしていました。
扁桃体は危険を察知するためにとても役立つ機能だったのです。
しかし、とても役立つ機能とともにこのような時、人は恐怖や不安も同時に感じていました。
現代では命の危険が及ぶ、ということは滅多にありませんが、扁桃体はどうやら活動しているようです。
怒られた時、嫌なことがあった時、自信がない時、様々な原因で扁桃体は活動します。
この生徒さんの場合、些細なことで不安な気持ちになることが多かったようです。
ここで考えられることは、もしかしたら過剰に扁桃体が活動しているのではないか、ということです。
過剰に活動しているとなるともちろん不安感も強くなります。
では、その不安を減らし、どうすれば扁桃体が落ち着いてくれるのか、もう少し考えてみることにしましょう。
レッスンでは子供の脳の発達や運動能力などの成長に合わせて、子供にとっては少しだけ難しいと感じる課題(ピアノの曲)を出します。
すると子供は課題に挑戦し、努力します。
この課題を達成できた時、子供自身が達成感を味わうとともに、その達成感を講師と共有することで心のコミュニケーションが行われます。
このコミュニケーションが幸せホルモンと呼ばれているオキシトシンを分泌させます。
そのオキシトシンは脳の部位である視床を活性化させるのですが、この視床こそ扁桃体を落ち着かせる役割がある部位なのです。
また、達成感の共有とともに褒められると、前部帯状回という部位が刺激されます。この部位も扁桃体の活動を安定させるために必要な場所です。
教育の視点で考えても、褒めることが大切だということは多くの人がご存知だと思いますが、実は褒めるというのはタイミングが大事なのです。
子供と同じ気持ちで同じ時に心を共有し、喜びを分かち合うことこそ、褒めることに意味が生まれるのではないでしょうか。
オキシトシンは他人とでも分泌させることはできますが、特に母とのコミュニケーションは子供にとって特に大きな影響を与えます。
ショルタメンテではレッスンの時だけでなく、家族の関わりも含めて、さまざまな視点を持ってレッスンを行なっております。
今回の不安を感じる生徒さんの場合も同様です。
レッスンだけでのコミュニケーションではこの生徒さんの不安を取り除くことはできません。
ショルタメンテでできることはきっかけにしかならないのです。
1番大事なのは、子供自身が自分を知り、自分の心と身体を知り、母の愛を存分に感じることです。
親が子を思う気持ちは世界共通ですが、子供がどんな愛の形を望んでいるのかが、問題を解決する鍵かもしれません。
ただ、抱きしめるだけでも、微笑みかけられるだけでも良いかもしれません。
そんなことを意識しつつ、ショルタメンテでは生徒さん家族と共に子供がのびのび過ごせる環境を作りたいと思っております。